楽音信号の解析や記録などの目的から、楽譜の自動作成に関する研究が行われるようになり、現在では単一楽音に対しては実用的なレベルまで研究が進められている。しかし音程は時々刻々と変化し、短時間の演奏データで音程を解析しなければならないため、高い周波数分解能が要求される混合楽音に対する良い解析法は報告されていない。それは従来から音程推定に用いられている離散フーリエ変換(DFT)のような相関法の場合、高い周波数分解能を得るには長時間のデータが必要となるからである。そこで本論文では、入力周波数間で生ずるビートに着目し、相関法よりも短時間のデータで高い周波数分解能が得られる方法を提案し、実験によりその有効性を確認している。