日本音響学会誌
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3元データ分析法によるコードレス電話機の音質評価と心理量物理量の相関分析
新居 康彦三浦 研造
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1994 年 50 巻 11 号 p. 880-887

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抄録

3元データ分析法(INDSCAL)を用いて4種類のコードレス電話機と従来のカールコードつき電話機との音質を比較評価した。その結果、コードレス電話機の音質はレファレンスに用いたカールコードつき電話機に比べて、自然性、快さ、声の澄み、声の類似性、音質の良さ、好みなどの点で劣っていることが明らかとなった。しかし、コードレス電話機相互の差異は比較的小さかった。また、心理量と物理量との相関分析から、音質劣化の原因が混変調歪、ブリージング雑音、帯域制限、及び周波数特性にあることが示唆された。個人差分析によって、被験者の知覚感度にかなりばらつきのあることが判明したが、有意性の検定から評価結果は十分信頼できると考えられる。現状のアナログコードレス電話機は、利便性のために音質の問題が容認されているが、今後、ディジタル化が進捗する過程で音質も改善できるものと思われる。

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© 1994 一般社団法人 日本音響学会
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