中国語音声の韻律的特徴は、個々の音節ごとの特徴を表す字調と、句や文などのより大きな言語単位の特徴を表す句調とに分けられる。前者は、個々の音節を単独に発音した場合には比較的安定であるが、連続音声では、個々の音節の本来の字調が、隣接音節の字調の影響を受けて変化する。一方、後者は発話全体の統語構造などと深く関わっている。既報の基本周波数パターン生成過程のモデルを標準中国語音声に拡張し、それを用いて単音節から文にわたる韻律の特徴を分析し、定式化した。結果から、音調型の変化特性、統語・意味とフレーズ成分の関係を明らかにした。また、共通の分節的特徴パターンから各音調型の単音節単語の合成が可能なことを示した。