日本音響学会誌
Online ISSN : 2432-2040
Print ISSN : 0369-4232
見掛けの不連続原理による曲面物体からの回折波の解析
金 熙上田 光宏
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 52 巻 6 号 p. 436-442

詳細
抄録

我々は波動方程式と境界条件の両方とも満たすことができる新しい回折理論, 回折の見掛けの不連続原理を提案し, 3次元空間において凸及び凹多面体からの回折波の1次近似解の計算方法を具体的に示し, 本原理による1次近似解の有効性を示した。本論文では, この原理を曲面物体に拡張して, 任意曲面物体を多面体で近似することにより, 曲面体からの回折波を計算する方法を示す。曲面体を近似する多面体の面数は膨大になることから, 先に示した計算方法を直接適用すると計算時間が長くかかりすぎることを指摘し, 等価計算法を提案している。円柱をモデルにして等価計算法による計算時間の短縮効果を示すと共に, 半径3.6波長の球を20,480面の多面体で近似することにより, 厳密解とよく一致する散乱波が計算できることを示している。

著者関連情報
© 1996 一般社団法人 日本音響学会
前の記事 次の記事
feedback
Top