2003 年 59 巻 5 号 p. 241-249
CD,DVD等のディジタルメディアに記録されている音楽信号を分析し,波形の最大傾斜から時間ゆらぎ許容値を算出した。曲によっては,瞬時的に10kHzを超える純音に相当するような急峻な波形が含まれ,16ビットの精度を保証するための時間ゆらぎ許容値が200ps程度以下になることが示された。音楽信号を聴取する場面で,どの程度の時間ゆらぎが検知可能なのかを明らかにするため,一般の学生を被験者とし,時間ゆらぎの有無による音質差の弁別実験を行った。白色性の時間ゆらぎの場合,検知閾は数百ns程度であることが示された。