抄録
集束超音波とノズルを用いたプリントヘッドの効率に関し,振動子による電気音響変換効率と反射板による集束効率とを検討し,10MHzで動作するプリントヘッドを試作した。焦点近傍での音圧の測定結果と計算結果はよく一致した。これにより試作プリントヘッドの損失は約4dBと推定された。また,拡大モデルを試作してインク表面状態を観察し,インク滴の吐出がキャピラリ波を介して発生することを確認した。更にキャピラリ波の波動方程式に基づいた数値計算から,インク滴が吐出するのに必要な焦点における超音波粒子変位の振幅最大値の閾値を予測した。予測した閾値は実際にインク滴が吐出開始した超音波粒子変位の振幅最大値の実験値とオーダが一致した。