日本音響学会誌
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鳴り砂粒子の動きの可視化による発音機構の解明
渡津 俊行松井 整司原 朋之糸原 太之
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2011 年 67 巻 11 号 p. 510-519

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抄録

鳴り砂の発音機構については,その発音波形の分析などに基づく多くの研究がある。それらは主に,砂粒どうしの摩擦による発音を想定している。しかし,砂を突く棒の形状によっては,砂粒間に摩擦が生じていると考えられる場合でも,鳴り砂が鳴らない場合がある。これまで,個々の砂粒の運動を直視して,その発音機構を解明する試みは見出し得なかった。本論では,砂粒の動きを明確にするために写真撮影をした。すると鳴り砂の場合,押し棒の先端に五つの領域が生じていた。ある領域は鳴る場合のみに生じる。砂が発する音は,この領域に生じる粒子群の衝突に基因すると想定し,鳴らない場合も包含する砂粒の運動モデルと発音機構の一つの姿を提案する。

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© 2011 一般社団法人 日本音響学会
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