波動関数展開とキルヒホッフ-ホイヘンスの公式を用いた散乱音場の準理論解析手法

抄録

自由空間中の散乱音場の解析手法として,散乱音場を球波動関数の展開形式で与え,キルヒホッフ-ホイヘンスの積分公式を用いてその展開係数に関するマトリクス方程式に帰着させる準理論解析手法を構築する。有限長円筒による散乱波の指向特性を,提案手法と境界要素法によって計算し,提案手法が計算負荷において有利であることを示す。また,境界要素法において生じる,障害物内部のDirichlet問題の固有周波数における解の非一意性の問題が,提案手法では原理的に生じないことを,周波数応答関数の計算例と共に示す。