2011年に刊行された日本建築学会環境規準では,公共空間における音声伝送性能のクラス分けと,空間の用途に応じたクラスの下限値が示されている。しかし,同規準は発話速度が5.5syll./sの結果を基に定められたものであり,公共空間の音声伝送性能が同規準を満たしたとしても,発話速度によっては音声情報が正確に伝わらないことも考えられる。そこで本研究では,同規準においてパラメトリックに考慮されていない発話速度と音声レベルが音声情報伝達に及ぼす影響を明らかにすると共に,同規準が適用できる発話速度と音声レベルの範囲を明らかにした。