多くの実用的なシステムの開発では様々な調整作業が必要となる。調整の対象となるシステムの変数と調整の結果としてのシステムの性能の関係は関数として捉えることができるが,数式としての定式化が困難な場合や,数式として表すことができても解析的な最適化が困難な場合も多い。従来はそのような場合,専門家の職人的なノウハウに頼ることが一般的であった。これに対し近年,システムの調整をブラックボックス最適化問題として捉え,メタヒューリスティックな手法を応用することで自動化することが幾つかの分野で行われるようになりつつある。アルゴリズムに基づき最適化を行うことで,専門家のノウハウに頼ることなくより容易に高度なシステムを実現できる利点がある。近年実用化が進みつつある音声認識も高い性能を得るために複雑な調整が必要となるシステムであり,ブラックボックス最適化が有用と期待される分野である。本論文ではブラックボックス最適化の代表的なアルゴリズムについて解説すると共に,音声認識システムの構築においてそれらがどのように役立てられるのかについて説明を行う。