奥州系の普化宗尺八曲,布袋軒鈴慕の演奏音源から基本周波数を抽出し,旋律をセント表示のグラフにした。これにより,音源の聴き取りを基にした五線譜等では知り得なかった微細な音高変化と,より正確な音価を知ることができた。鈴慕の複雑な旋律も,定型旋律とその変異型との組み合わせとして捉えることにより,各音句による旋律の構成と機能を知り得た。次に,鈴慕は類似の旋律パターンの繰り返しにより構成され,自由リズムとしての回帰性と時間的定質性のあることが分かった。続いて“間”について検証し,音句を構成する音素の時間長が,息継ぎ時間を規制する基本にあることが分かった。