学校メンタルヘルス
Online ISSN : 2433-1937
Print ISSN : 1344-5944
中学生における自発的ピア・サポートが自己成長に及ぼす効果
有馬 比呂志
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 13 巻 1 号 p. 35-40

詳細
抄録

本研究の目的は,中学生の自発的なピア・サポート活動の経験が自己成長に及ぼす効果を検討することであった。参加者は中学生761名であった。本調査は,自発的ピア・サポート経験の有無を確認する調査1と,経験があった生徒を対象にした自己成長を検討する調査2で構成されていた。調査2では,伊藤で作成された自己成長に関する質問項目を修正し,自己成長尺度として使用した。自己成長に関する因子分析を行った結果,2つの因子が抽出され,第1因子は「対人的態度」,第2因子は「学校生活」と命名された。さらに,ピア・サポート活動の経験による自己成長についての自由記述を,質的分析法の1つである修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析を行った。その結果,「自己理解」,「対人的態度」,「支援」,「学校生活」の4つのカテゴリーが抽出され,「自発的ピア・サポートによって,支援や学校生活を肯定的に捉えることができ,自己理解と対人的態度が改善する」というグラウンデッド・セオリーが生成された。これらの結果から,自発的なピア・サポート活動が自己成長に促進的効果があることが示唆された。

著者関連情報
© 2010 日本学校メンタルヘルス学会
前の記事 次の記事
feedback
Top