学校メンタルヘルス
Online ISSN : 2433-1937
Print ISSN : 1344-5944
原著論文
教師の子ども支援力に関する統計学的検討
藤井 義久
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2017 年 20 巻 1 号 p. 25-36

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抄録

【問題と目的】子どもの問題行動を未然に予防していくためには,今後,教師の「子ども支援力」を高めていくことが急務である。そこで,本研究では,教師の「子ども支援力」を多面的に評価できる「教師版子ども支援力尺度」を開発し,「子ども支援力」の構成概念を統計学的に検討することにした。

【方法】対象者は,東北圏内にある小学校8校と中学校8校に勤務する教職員404名(男性164名,女性240名)である。自由記述調査に基づいて作成した「教師版子ども支援力尺度(暫定版)」(45項目,4件法)に加えて,教師悩み調査や担当クラスにおける不登校児童生徒数調査も併せて実施した。

【結果】項目分析および因子分析の結果,最終的に,教師の「子ども支援力」の因子として,「カウンセリング能力」,「教師連携能力」,「アセスメント能力」,「専門機関連携能力」,「感情制御能力」という5つの因子が統計学的に抽出された。そして,その尺度を用いて,以下のことが明らかになった。1)女性教師や小学校教師の方がより「子ども支援力」は高かった。2)教師の「悩み」と「子ども支援力」との間には密接な関連があった。3)不登校児童生徒がいる学級担任の「子ども支援力」は,不登校児童生徒がいない学級の担任よりも一般に低かった。

【考察】今後は,子どもの問題行動の未然予防を目指して,教師の「子ども支援力」を向上させていくためにどのような研修プログラムが有効であるか,本研究で開発した「教師版子ども支援力尺度」を用いて検証していくことが必要である。

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© 2017 日本学校メンタルヘルス学会
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