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本稿は、公共図書館がビジネス支援をするための条件を、レファレンス機能の観点から考察したものである。図書館がビジネス支援をするためには次の2つの条件が必要である。一つは、図書館員がデータ処理やビジネスモデリングなどといった経営の体系的知識を身につけることである。もう一つは、図書館員が個別の事象に立ち入らないように相談に応じることである。しかし、現在勤務している司書がこれらを身につけることは難しい。また、図書館で専門家を雇うことも難しい。そこで本稿は、司書の職務の限界を専門機関や専門家との連携で補うネットワークを提案したものである。このネットワークを構築することで、司書は地域住民にとって知の相談相手という役割を強化できると筆者らは主張した。そして、利用者と専門家との間のインタフェース機能を司書の新しい役割として論じた。また、情報システムを用いてこの機能を支援する方法についても言及した。