抄録
情報投資の事前経済性評価については多くの研究がなされてきたが、その事後評価については殆ど研究されてこなかった。そこで、選択された経済性指標を適用し、各企業の財務業績を設備投資分と情報投資分に配分した。東京証券取引所に上場されている製造企業について、各企業の過去5年間の設備投資および情報投資の事後評価を行った。その結果、投資経済性について業種間に大きな差があることが判明した。それにも拘らず、平均的には情報投資利益率が設備投資利益率を上回ることが判明した。さらに、情報投資利益率の高い企業は、概ね加工と販売の前方統合をしていることが判明した。これは情報投資の経済的効果は企業のビジネスアーキテクチャに依存していることを示唆するものと考えられる。