抄録
近年、マーケティング領域において、「共感」が注目されている。しかしながら、その定義・概念は多様で一貫性がなく研究者により異なる。そこで、本研究では、まず、心理学的視点から共感研究を概観した後、マーケティング理論と類比・照合することにより、マーケティング研究において適用可能な共感概念を再定義する。その後、消費者のブランドに対する共感の、ブランド態度への影響を考察する(ここで、態度とは対象への学習された全体的な準備状況をいう)。具体的には、実験において、外部刺激により共感を生起した被験者のブランド態度と対照群のそれとを比較することにより、共感のブランド態度に対する効果を明らかにする。最後に、実務的示唆の導出を試みる。