抄録
近年,企業業績に対してトップ・マネジメント・チームの異質性が与える影響に関する理論的及び実証的検討が活発に行われている。とりわけ,在職期間の異質性と企業業績との関係性を扱った従来の研究結果は一貫しておらず,未だ議論の余地が残されている。そこで,本研究では,経営幹部の自由裁量の知見を援用しつつ,直近の資本集約度の変化が在職期間の異質性と企業業績との関係を調整することを仮定し,上場企業1173社を対象に実証的検討を行った。その結果,直近において資本集約度が減少した企業では在職期間の異質性が与える有意な負の効果が確認された一方で,資本集約度が増大した企業では有意な効果が確認されなかった。