抄録
我が国の中古戸建住宅は, 築20~25年で価値ゼロと評価されている. このため、住宅の保有者にとって,建物をメンテナンスして長持ちさせるインセンティブが生じにくく, 売却して老後の生活費とすることも難しい. 官民を挙げて建物価値の長期化に取り組んでいるが, 決め手となる施策は見つかっていない.本研究では, ゲーム理論を用いて,同一品質の中古戸建住宅を購入する2人のプレイヤーが, 購入時の経済的耐用年数をどのように評価するかを戦略とし, 売却時点のキャピタルゲインを利得として, 売却までの保有期間と利得との関係をモデル化する.このモデルを用いて, 建物価値長期化問題に有効な施策を検討する.