抄録
はじめに:わが国で働く保育者(保育士,幼稚園教諭,保育教諭)には離職が多いが,その職業性ストレスや精神健康に関する研究は少ないため,これに関する国内の調査研究をレビューし,精神健康と関連要因についての知見と今後の課題を検討することを目的とした.
方法:医学中央雑誌で保育者の健康とストレスについて調査した論文を検索し,得られた12 編についてレビューを行った.
結果:研究ごとに,対象者は常勤保育士のみとしたものや,常勤保育士/非常勤保育士の混合,保育所や幼稚園など多様であった.精神健康度の指標も多様で,バーンアウト度を指標とした研究は一般労働者と比較ができなかった.また精神健康との関連を検討した個人要因,職場環境要因も研究ごとに多様で,結果は一貫していなかった.
結論:保育者を代表する大サンプルについて,一般労働者と比較可能な標準的方法により職場環境や精神健康を系統的に評価し,一般的な職業性ストレスモデルをふまえて精神健康の関連要因を検討する研究が必要である.