抄録
近年日本では, 外国人の数が増加しており, これは保育現場における外国人幼児の増加を意味する.本研究では, 保育現場における外国籍の特別ニーズ児への対応の課題と工夫について明らかにすることを目的とする. 都市型分散地域に勤める首都圏と九州北部の保育所職員6名を対象にインタビュー調査を実施し, M-GTAにより分析した. その結果, 118のエピソードが抽出され, 大カテゴリー8つと32の小カテゴリーと53の概念が生成された. 保育現場が直面する課題には, 発達課題, 情緒的問題, 家庭の問題に対して複合的な支援が必要であった. 子どもに対しては遊びを中心とした支援が有効であったが, 保護者に対しては通訳や多言語資料,地域の専門機関との連携などが課題として挙がった.