看護教育学研究
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新人看護師の職業的成熟度に関する研究 : 現状及び関係する特性に焦点を当てて
中原 博美亀岡 智美
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2010 年 19 巻 1 号 p. 21-34

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抄録

研究目的は、新人看護師の職業的成熟度の現状及び関係する特性を解明し、新人看護師の職業的成熟度に関する予測理論の開発に向けた示唆を得ることである。文献検討に基づき構築した概念枠組みは、先行研究が新人看護師の職業的成熟度に関係する可能性を示唆し28変数を含む。測定用具には、職業キャリア成熟尺度(坂柳,1999)と新人看護師特性調査紙を用いた。対象は、研究協力に同意した全国の病院に就業する新人看護師1327名であった。郵送法による調査を行い、619名(46.6%)より回答を得、有効回答612部を統計学的に分析した。結果は、対象者の職業キャリア成熟尺度得点が平均92.9点であり、成人一般と近似していることを示した。また、その下位尺度得点は、「関心性」が最も高く、「計画性」が最も低かった。さらに、職業キャリア成熟尺度得点と自己概念、看護実践能力に対する自己評価、看護職者の発達やキャリアアップに関する学生時代の学習等の20変数との間に統計学的に有意な関係があることが明らかになった(p<0.05)。この20変数を考察した結果は、新人看護師の職業的成熟度に関する仮説モデルを導き出すとともに、発達課題の達成度、看護学の修得度、看護職者の発達に関する知識の修得度が、職業的成熟度に影響し、看護基礎教育・看護継続教育を通したこれらの向上が、新人看護師の職業的成熟度向上に繋がることを示唆した。

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© 2010 日本看護教育学学会
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