看護教育学研究
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原著
看護師が知覚する「働きやすさ」を決定づける基準の解明
―病院に就業するスタッフ看護師に焦点を当てて―
鹿島 嘉佐音舟島 なをみ中山 登志子
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2016 年 25 巻 1 号 p. 7-20

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抄録

本研究の目的は、病院に就業する看護師が知覚する「働きやすさ」を決定づける基準を明らかにし、働きやすい職場をつくるための示唆を得ることである。「働きやすさ」とは、日本の看護師にとって身近な日本固有の概念である。全国の病院に就業するスタッフ看護師797 名を対象とし、看護師が知覚する「働きやすさ」と「働きにくさ」を問う自由回答式質問を含む質問紙を用いて調査を行った。質問紙の内容的妥当性は、2回のパイロットスタディにより確保した。分析には、Berelson, B. の方法論を参考にした看護教育学における内容分析を用いた。返送された質問紙445 部(回収率55.8%)のうち、有効回答368 部を分析対象とした。分析の結果、病院に就業する看護師が知覚する「働きやすさ」を決定づける39 基準が明らかになった。Scott,W.A. の式によるカテゴリへの分類の一致率は70% 以上であり、39 基準が信頼性を確保していることを示した。結果は、看護師が「働きやすさ」を①看護継続教育や看護職者個々のキャリア発達に影響を受ける基準、②病院管理・看護管理に直結する基準、③看護職者個々の価値観や生活状況に影響を受ける基準の3側面から決定づけていることを示した。働きやすい職場をつくるために、組織的取り組みのみならず、看護職者個々の貢献もまた重要であることを確認した。

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© 2016 日本看護教育学学会
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