抄録
本研究の目的は、看護職者が直面する看護単位別学習会の企画・運営に伴う困難とその克服法を解明し、分散教育の質向上に向けた示唆を得ることである。37病院の看護職者564名に、看護単位別学習会の企画・運営に伴う困難とその克服法を問う自由回答式質問を含む質問紙を用いて調査を行った。質問紙の内容的妥当性は、パイロットスタディにより確保した。返送があった336名(回収率59.6%)の回答を、Berelson, B.の方法論を参考にした看護教育学における内容分析を用いて分析した。結果は、看護単位別学習会の企画・運営に伴う困難19種類と、困難に対する克服法32種類を明らかにした。Scott, W. A. の式によるカテゴリへの分類の一致率はともに70%以上であり、カテゴリが信頼性を確保していることを示した。また、困難と克服法の対応を分析し、各困難に対して看護職者が用いていた克服法を明らかにした。考察の結果は、多くの看護職者が教育プログラムの立案、実施、評価に関する知識や経験の不足によって生じる困難に直面している現状を示した。また、困難の克服に向けて、看護職者の自律的な学習の必要性と病院や看護管理者が提供する必要のある支援を導いた。さらに、本研究の結果は、看護単位別学習会の慣例的な企画・運営に対する検討の必要性を示唆した。