スポーツ精神医学
Online ISSN : 2436-1135
Print ISSN : 1349-4929
資料
地域で生活する精神障がい者へのフットサルの普及活動とノーマライゼーション
久米 知代
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2012 年 9 巻 p. 31-37

詳細
抄録

埼玉県では精神障がい者フットサルを通じ、精神障がい者の健康増進、生活の質の向上、社会参加促進を目指し、「フットサルIN埼玉実行委員会」を立上げ、大会の企画運営、選抜チームの活動支援、その情報発信や普及啓発活動を行っている。

活動開始当初スタッフは娯楽性を重視していたが、議論を重ね、競技性重視の運営に方向転換した。同時期に選手の表情も重く堅苦しい雰囲気が勝負への意気込みへと変化した。大会当日のアンケート調査では筆圧が強くなり、自由記述欄にはスタッフへの要望や感謝が長い文章で書かれるようになった。また集計すると、選手が勝利を意識し自らの意志で大会に継続参加していること、娯楽的参加から競技性を求めていること、楽しみが増え友人づくりへと進展している結果も出ている。

競技スポーツは、周囲の評価や成功体験で自尊感情が高まり、その効用が心理社会的治療法として注目されている。今後はその科学的検証を進めながら、精神障がい者のノーマライゼーションの寄与に努めたい。

著者関連情報
© 2012 日本スポーツ精神医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top