抄録
近年、大規模で複雑なモデルを最適化する手法として、Differential Evolution(DE)アルゴリズムが提案されている。本研究では、DEを用いて肉牛肥育・飼料生産に関するエネルギー消費モデルの最適化を行った。補助エネルギー効率に影響を与える5つの変数(粗飼料割合、飼養密度(頭/ha)、1日あたりの増体量、肥育終了時体重、粗飼料のTDN含有量)を最適化することで、これらの変数の最適水準を決定した。その結果、補助エネルギー効率を高くするには、より多くの良質の粗飼料を給与し、成長速度の速い個体を短期間の肥育で終了させれば良いことが確認できた。さらに、Storn and Price が提示したDEの戦略のうち、 DE/best/1/expとDE/rand/1/binの2つについて、制御変数(交叉率(CR)と突然変異時に適用される重み係数(F))が最適化に与える影響について検討を行った。評価基準は収束の速さと最適解の検出の安定性とした。その結果、CRとFはそれぞれ、DE/best/1/exp では、0.75 と0.5 が、DE/rand/1/bin では、0.5 と0.5 が最も良い組み合わせであることが示唆された。