2007 年 23 巻 3 号 p. 213-219
近年、畜産においても環境保全に対する配慮は欠かせないものとなっており、様々な環境への影響を全体として低減するため、環境影響を総合的に評価することが必要である。生産物・サービスの一生を通して、使用される資源および排出される環境負荷物質を調べて環境への影響を評価する手法であるライフサイクルアセスメント (LCA)はこの目的に合致した評価手法として有望であると期待されており、畜産分野においてもLCAを用いた家畜生産システムの評価およびLCAの概念に基づいた評価手法開発について研究が進められつつある。本論文では、まずLCAについて概説し、続いて国内外における畜産分野のLCAに関する研究の動向について調べた。そして、著者らが実施してきた畜産におけるLCAを用いた環境影響評価の事例として、肉用牛生産と食品残さ飼料化の評価に関する研究について説明した。最後に、畜産分野のLCAにおける課題と今後の展開について簡潔に触れた。