抄録
衛星観測で得られた正規化植生指数(Normalized Difference Vegetation Index: NDVI)から展葉開始日や落葉終了日を推定するためには、衛星観測で得られたNDVIのある値が毎年同じ地表面の植生状態をとらえていることを確認する必要がある。そこで本研究は、冷温帯落葉広葉樹林を対象に、地上の分光放射計で得られたNDVIと、Terra衛星とAqua衛星に搭載したMODIS(Moderate Resolution Imaging Spectroradiometer)センサで得られたNDVIから2004年から2006年の展葉開始日と落葉終了日を推定し、そのときに撮影した林冠写真を比較した。地上観測と衛星観測で得られたNDVIから推定した展葉開始日と落葉終了日に撮影した林冠写真は、それぞれ毎年ほぼ同じ地表面の植生状態をとらえていた。この結果、NDVIのある季節のある値は、毎年同じ地表面の植生状態をとらえていることが確認された。地上観測と衛星観測で得られたNDVIは、展葉期に増加し、落葉期に減少した。しかし、衛星観測で得られたNDVIの年最大値と年最小値の中間値を閾値として推定した展葉開始日は、実際よりも平均20日早く、落葉終了日は、実際よりも平均32日遅かった。