システム農学
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研究論文
ALOSデータを用いたインドネシア,南スマトラにおける小規模農家によるオイルパーム園の抽出
YAYUSMAN Lissa Fajri長澤 良太
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2015 年 31 巻 2 号 p. 27-40

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抄録
近年、オイルパーム油に対する高い需要は世界各地でオイルパーム園の拡大を引き起こしている。その傾向はインドネシアでも顕著であり、同国の国民所得の増大、代替エネルギーの開発に大きく貢献した一方、さまざまな生態環境や土地管理上の諸問題をもたらしている。オイルパーム園の拡大が環境に与える影響を定量的に評価する試みはこれまでにも多くみられるが、近年特に小規模農家による経営規模の小さいオイルパーム園が各地で分散的に拡大し、現象を一層複雑で困難な問題としている。インドネシアの南スマトラに位置するMesuji地区は小規模オイルパーム園が急速に拡大している地域であり、周辺の土地利用、土地管理に対する影響が危惧されている。そこで、本研究では陸域観測技術衛星(ALOS)によって取得されたマルチセンサー、マルチスケールの画像データを利用することによって、同地区の小規模オイルパーム園を正確に抽出する手法の検討を行った。結果として、SAR画像に表されたオイルパーム園の特徴的な形状をテクスチュア解析によって的確に抽出できることがわかった。すなわち、ALOS PALSAR画像の11 x 11ピクセルの moving windowサイズで統計値mean-varianceのテクスチュア特性を抽出し、さらにALOS AVINIR-2の全バンドのマルチスペクトル特性をデータ統合することにより、小規模オイルパーム園を最も良い精度で抽出できた。精度評価の結果、成熟したパームオイルの場合、プロデューサー精度で92.45%、ユーザー精度で66.75%の値、また成長段階にある若いオイルパームではプロデューサー精度で64.44%、ユーザー精度で63.04%の分類精度を得ることができた。
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© 2015 システム農学会
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