抄録
湖沼の水資源管理において、水深は基礎的かつ重要なパラメータの1 つである。毎年襲来する台風によって洪水が発生したり、急速な都市化による水質汚染が危惧されたりしている東南アジア諸国では、湖沼や周辺河川の水位モニタリング体制の整備が緊急の課題と考えられる。しかし、定期的な情報更新を実施する上で、実施にかかる予算や観測ポイントへのアクセシビリティ制約などの負担を軽減することが課題となる。そこで本研究は、これら2 つの課題に対応する方法として、一般的な魚群探知機を応用した簡易水深測定法を考案し、フィリピン共和国のラグナ湖において、実際に収集したデータから現在の水深図の作成を試みた。結果、本手法はこれら2 つの制約を改善し、効率的な水深データの収集を可能とし、水資源管理の政策立案およびその評価に効果的な情報整備に貢献できることを明らかとした。