耕作放棄地における夏生一年生雑草群集の全体および種ごとのバイオマスとその空間的特性の季節的変化を明らかにした。我々が約20年かけて構築した植生調査・解析法を用いて、雑草の6~11月にわたるバイオマスの推移を調査した3年分(2006,2008,2009年)のデータ処理を行った。5月中旬に畑を耕起し、0.01m2の小区画100個を含む1m2の調査区画を10個程度設け、6月25日から10~20日おきに調査区画を1つずつ潰して、小区画ごとに植物を地際で切り取り、種ごとに分別、乾燥後、小区画・種ごとのバイオマス(乾燥重)を測定した。本研究より,以下に示す夏生一年生雑草の生態学的特性が明らかとなった。(1)調査の各時点における小区画ごとの総バイオマスよび種ごとのバイオマスの頻度分布は、ともにガンマ分布に従った。(2)これにより、総バイオマスおよび主要構成種のバイオマスの季節変化を一般化線形回帰モデルで表現できた。(3)ガンマ分布のパラメータpによって総バイオマスおよび種ごとのバイオマスの空間的不均一性の季節変化を決定した。(4)バイオマスで測った調査区画間の種構成非類似度は、幼植物からバイオマスの最大時期頃までは次第に大きくなり、バイオマスが最大値に達した後10~11月まで高いまま推移した。