The Journal of JASTRO
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TECHNICAL NOTE
125Iシード線源による前立腺密封小線源治療を受けた患者に対する1cm線量当量率の測定
佐藤 智春石田 寿城萬 篤憲戸矢 和仁大橋 俊夫土器屋 卓志
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2005 年 17 巻 2 号 p. 123-127

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抄録

本研究の目的は, 125Iシード永久挿入術を受けた局所前立腺癌の患者に対して1cm線量当量率を測定し, 得られた測定値に影響を与える主な要因について解析すること, そして介護者, 公衆などに対する放射線防護上の安全性について検討することである. 125Iの平均エネルギーが27.4KeVであることを考慮して, 30KeV未満の低エネルギーγ線の測定が可能な電離箱式サーベイメータを用いた. 125Iシード永久挿入術を受けた患者70例に対し, ベッド上仰臥位にて人体前面, 左右両側面および足元方向について体表面から1m離れた地点で1cm線量当量率を測定した. 結果は, 人体前面からの測定値が最も大きく, 線源から体表面までの距離が大きく影響した. 7例が人体前面方向において退出基準の1つである1.8μSv/hを越えていたが, いずれも投与量は1,300MBq以下であり, 前立腺から体表面までの距離は1.8μSv/h以下の場合と比較して短かった. やせ型の体型の場合, 投与量が基準値以下であっても1.8μSv/hを越える可能性があり, 患者が第3者に接する状況に応じて充分な指導が必要である. また, 我々が測定結果から求めた患者周辺線量当量率の推定値は, 0.0008μSv・m2/MBq/hとなり, 本邦において125Iシード線源の外部被ばく線量の評価に用いている実効線量率定数0.0014μSv・m2/MBq/hを大幅に下まわった. そして, 人体前面方向における1MBqあたりの1cm線量当量率の平均値は0.0015μSv・m2/MBq/hとなり, 本邦で用いている実効線量率定数とほぼ等しかった. よって, 本邦が採用している125Iシード線源を用いた場合の実効線量率定数により計算し決定された退出基準値は, 介護者, 公衆などの安全性を充分に確保しているといえる.

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© 2005 日本放射線腫瘍学会
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