The Journal of JASTRO
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TECHNICAL NOTE
放射線治療室におけるSOS switch system(SSS)について
—息止め下照射システムの応用の初期経験—
小宮山 貴史許山 剛中村 公二大西 洋荒屋 正幸佐野 尚樹
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2009 年 21 巻 3 号 p. 169-172

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抄録

【目的】息止め下照射システムを照射室における患者意思表示装置(SOS switch system: SSS)として応用し,照射中リスクマネジメントの改善を試みた.【対象と方法】SSSの適応は,(1)シェルの使用,(2)喉頭摘出の既往,(3)突発性の嘔気・嘔吐の危険,(4)照射中の咳嗽の可能性,(5)痙攣の既往,(6)治療への強い不安とした.平成17年 5 月から平成18年10月,当院で放射線治療を施行したのべ426例中65例にSSSを使用した.男性32例,女性33例.年齢は26~88歳(中央値65歳).SSSを使用した理由(重複あり)は,シェル使用:57例,喉頭摘出の既往:2 例,咳嗽:6 例,痙攣:1 例,不安:3 例であった.また,別の患者群において頭部・頸部用シェルを使用した23名に,SSS使用についてアンケート調査を行った.【結果】SSSを使用しての照射は65例の,合計で1,120回であった.使用目的,使用方法については年齢に関係なく,ほぼすべての患者が平易に理解した.手元スイッチが押された回数は全11回であった.スイッチが押された理由がはっきりしたものは 4 回で,理由は嘔気,誤嚥,疼痛,咳嗽が各 1 回であった.これら 4 回については照射を中断,必要な処置を行った後,照射を再開できた.7 回(2 症例で,のべ 7 回)については押された理由がはっきりと分からず,脳転移による意識障害によるものと考えられた.咳嗽時にスイッチが押されなかったケースが 1 回あった.全身状態がやや不良な症例であり,咳嗽に対してスイッチ操作の対応が遅れたものと考えた.SSSを使用したことにより,新たにトラブルが発生したことはなかった.別の患者群に対するアンケートの結果,90%以上の患者が「SSSは有用」と回答した.【結語】息止め下照射システムをSSSとして応用した.多くの患者に簡便かつ明確な意思伝達手段を提供でき,トラブル伝達・認知手段として有用と考えられた.

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© 2009 日本放射線腫瘍学会
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