The Journal of JASTRO
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放射線治療におけるインフオームド・コンセント
放射線治療談話会アンケート調査結果
齋藤 勉古川 雅彦福原 昇早川 和重唐澤 克之奥村 敏之荻野 尚植松 稔伊丹 純
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1998 年 10 巻 1 号 p. 75-83

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抄録

【目的】関東地方にある放射線治療施設にアンケート調査に協力していただき, 患者に対する説明や同意書などインフォームド・コンセントの実体を調査した.
【対象・方法】アンケート依頼を連絡可能な関東地方の119施設に1996年3月25日に郵送した. うち1通は廃院にて返却で, 残り118通中61通の返答が1996年4月30日までにあった. このうち56通が有効同答だった.
【結果】放射線治療を受ける患者の癌告知の割合は患者の半数に満たない施設が63%, 割合が50%-75%の施設が23%で, それ以上が14%だった. 91%の施設で乳房患者の75%以上に, 60%の施設で婦人科患者の75%以上に告知がされていた. 告知に関しての放射線科の方針は66%の施設で依頼医に合わせるで, 積極的に告知する施設は7%だった.
ほぼ全員の患者に対し医師が説明したが, その対象は患者本人のみが多く, 家族を含めてや家族のみはわずかだった. 説明方法はほとんどが口頭で文章や同意書を使用する施設はわずかだった. 病状の説明は詳しくより簡単にが多った. 治療目的め説明は詳しくがやや多かった. 治療方法の説明も同様の結果だったが, 一次効果の説明や放射線障害の説明では簡単にが増え, 無しという施設も多少あった. 他治療法の説明や予後に関する説明は無しが多かった.
【結論】放射線治療においては, 原則として悪性腫瘍が対象・他科依頼がほとんどで既に説明がなされている・癌の告知が医師によりまちまちである・非常勤医師のみの施設があるなど問題がある. しかし放射線治療医もインフォームド・コンセントの重要性を認識し積極的に対応する必要があると考える.

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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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