The Journal of JASTRO
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本邦における術中照射の現況
築山 巌土器屋 卓志
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1998 年 10 巻 2 号 p. 145-150

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抄録

日本放射線腫瘍学会 (JASTRO) では放射線治療に関連する健康保険診療点数の適正化をはかるために健保委員会が組織されており, 術中照射の適正な診療報酬改訂の資料を得るための調査を行った. 全国のライナック保有490施設に術中照射の実施の有無, 過去3年間の実施症例数, 照射部位, 術中照射に係るスッタフの数, 術中照射に要する時間及び時間帯, 術中照射中の外照射患者の扱い, 術中照射の形態, 術中照射に関する過去5年間の学会発表ならびに論文発表および術中照射の問題点や要望等について問うアンケートを発送した.リニアック保有490施設のうち約半数の251施設から回答が寄せられた.アンケートの回収率は512%(251/490)であった. このうちの約1/3の90施設で術中照射が行われていた.過去3年間で治療された総件数は1633件であった.1施設の平均件数は18.1件で中央値は10件であった.治療部位は半数が膵臓癌で次いで胆道系, 直腸癌, 食道癌, 脳腫瘍の順であらゆる臓器を対象として術中照射が行われている.全施設が回答したと仮定すると我が国では180施設で年間1000例以上の術中照射が行われてれていると推定される.合計13.6人が何らかの形で術中照射に携わっている.外科医が最も多く3.9人, 次いで診療放射線技師, 手術室看護婦, 麻酔科医, 放射線科医, 放射線科看護婦の順であった.専用の照射室が普及していないため手術室から放射線治療棟に患者を搬送している施設が多く, 73%(59/81)に及んでいる.放射線治療棟内に専用の照射室を有する施設が20%であった.今回のアンケートの結果予想外に多くの施設で多数の症例に術中照射が行われていることが明らかとなった.多くのスタッフと時間を要する割には保険点数が低く, この治療の普及を妨げている一つの要因と考えられた.健保委員会ではこれらの資料をもとに術中照射の点数を15000点と改訂するように厚生省に要望書を提出した.

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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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