抄録
根治的治療を施行された舌癌症例143例の治療成績をretrospectiveに検討した. 特に早期症例において放射線治療成績と手術成績とを比較検討した. 組織型は全例扁平上皮癌であり, 1期: II期: III期: IV期=28: 32: 35: 48であった. 治療法を6群に分け5年生存率, 5年局所制御率, リンパ節転移について検討した. 5年原病生存率は全症例で71%, stage I: 85%, stage II: 80%, stage III: 76%, stage IV: 53%であった. 早期症例での5年生存率は手術単独例が組織内照射単独例よりも良好であった (100%vs70%). 早期症例で組織内照射単独例と手術単独例に5年局所制御率は統計学的有意差は認められなかった (87%vs86%). 経過中頸部リンパ節転移が出現した症例の生存率と初診時頸部リンパ節転移陽性例の生存率の間には統計学的有意差は認められなかった (69%vs62%). 単変量解析では女性, NOが, 多変量解析では60歳以下, 女性NOが有意に予後良好であった.