抄録
強度変調放射線治療 (intensity modulated radiation therapy: 以下, IMRT) が開発され, 腫瘍への一層の線量集中と腫瘍周辺のリスク臓器や正常組織の温存を図れるようになった. しかし不整形照射野を連続して照射するため, 線量の品質保証 (Quality Assurance) の重要性が強調されている. 当院ではSegmental multileaf collimator IMRTを行っている. その際の線量検証における線量分布の照合方法を中心に報告し検討を加えた.
線量分布の検証に用いるフィルムの物理特性を明確にした. x-Omat Vフィルムは照射容積が大きくなるとフィルム線量が増加することが判明した. 一方, EDR2フィルムはほぼ絶対線量の評価が可能であると思われた. 三次元的な検証をずるために, 固体ファントムに複数のフィルムを挟んで絶対線量で検討を行った. 線量分布は高線量域においてよく一致し, 低線量域においても治療計画装置に対して約3%以内の相違であった. また, 線量プロブァイルは線量の急勾配領域で約20c Gyの相違を示したが, 同じ線量を与える軸外距離の差は約1.5mm以内であった. この誤差は, Multi Leaf Collimator (以下, MLC) の位置精度によるものと思われる. しかし, この精度による出力の変動は約±0.1%以下であり, 線量分布上に有意な影響がないと思われる.