The Journal of JASTRO
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ISSN-L : 1881-9885
癌細胞と放射線抵抗性
内海 博司
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1993 年 5 巻 2 号 p. 89-98

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抄録
ヒト骨肉腫細胞株 (9株) とヒト悪性黒色腫細胞株 (6株) の生存曲線を検討して, PEの良い高い放射線抵抗性を示すG361株 (Do=145cGy, Dq=249cGy) と, 高い放射線感受性を示すP-39株 (Do=74cGy, Dq=85cGy) を見いだした.この細胞株を用いて, PLD修復能, 初期DNA二重鎖切断量, 修復不能DNA二重鎖切断量, 活性化癌遺伝子の発現量, 誘導核タンパク質等について検討した.その結果, ヒト悪性黒色細胞株の放射線抵抗性の細胞はintrinsicに細胞自身が, 放射線障害の修復能 (PLD修復能やDNA二重鎖切断修復能) が高まっていて放射線抵抗性になっていた.癌遺伝子と放射線感受性に関する報告には問題点がだされていたが, マウスNIH3T3細胞の研究やヒト骨肉腫や悪性黒色腫細胞の研究から, やはりras, raf, myc等のいわゆる優性癌遺伝子の変化が関与している可能性が低いことが明らかにされた.
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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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