抄録
1982年より1990年までの間に新潟大学医学部附属病院放射線科で治療した非切除食道扁平上皮癌で局所に60Gy以上が照射された65例を用いて, 局所制御に関与する因子を多変量解析 (Coxの比例ハザードモデル) により検討した.局所制御例は22例であり, 累積2年局所制御率は32%であった.宿主側, 腫瘍側, 治療側因子より, 文献的知見も考慮して選択した10因子 (性, 年齢, PS, 占居部位, X線型, T進行度, 腫瘍体積, 病巣長, 照射線量, 化学療法併用) について検討した.その結果, X線型, T進行度, 占居部位, 年齢が局所制御の難易を予測する上で重要な因子と考えられた.腫瘍体積の局所制御への影響は小さかったが, X線型が2型の場合, 体積が80cm3以上になると局所制御が劣る傾向があり, 2型においては効果の予測に役立つ可能性が示唆された.