1996 年 8 巻 2 号 p. 113-119
明らかな危険因子をもたない症例を含めたIB期子宮頸癌に対する術後照射の有用性について検討した.対象は1977年10月から1993年6月までに山形大学医学部附属病院で術後照射を行った子宮頸癌IB期 (N=33) 症例である.Linac 4MV X-ray, 前後対向2門にて全骨盤に42-52.2Gy (平均47.8Gy) 照射した.5年生存率は96.8%, 5年局所制御率は97.0%であった.さらに, 最も重要な危険因子と考えられているリンパ節転移のない症例に限ると5年生存率, 5年局所制御率はともに100%であった.リンパ節転移のない症例については45Gy/5週で重篤な放射線障害を出さずに十分局所制御できた.明らかな危険因子のない場合でも術後照射が局所制御に有用な可能性があり, 症例によっては45Gy程度の術後照射を検討してもよいのではないかと考えられた.