抄録
放射線治療の局所制御におよぼす照射期間の影響を分析し, 至適照射期間について考察した.京都大学医学部放射線科および関連病院において, 根治的に放射線治療した1-III期食道癌, 1期喉頭癌, III期子宮頚癌の局所制御, 急性および晩期障害の照射期間による影響を検討した.これらの腫瘍の局所制御率は照射期間の延長とともに低下した.多変量解析の結果, 食道癌と喉頭癌では照射期間が有意な予後因子であることが明らかにされた.1期喉頭癌では, 休日による1週間の照射期間の延長が, 有意な局所制御率の低下となった.一方, 食道癌においては, 照射期間を4週間に短縮しても, 照射期間6週間の局所制御率に比べ有意な差はなかった.また, 食道癌に対して加速多分割照射を行い照射期間を短縮すると, 急性および晩期障害の増加が認められた.結論として, 照射期間は正常組織と患者の許容範囲内で出来る限り短縮するべきである.至適な局所制御率を最小限の副作用で得るには, 合計66-70Gyの線量を6週間で照射するのがよいと考えられた.