2013 年 22 巻 p. 59-73
本研究では、ベンチャーキャピタル(VC)のシンジケート投資がアンダープライシングにどのような影響を及ぼしているのかということについて、実証的に明らかにする。具体的には、2001年から2009年に日本の新興市場に上場した企業を対象として、VCによるシンジケート投資は、投資先企業の質を保証する効果があるのかどうかを検証する。本研究における実証分析の結果、VCによるシンジケート投資が行われた企業は、そうでない企業に比べてアンダープライシングが小さくなることが明らかになった。また、シンジケート投資の回数もアンダープライシングを小さくする可能性があるが、1回目の組成されるシンジケーションのVC数は影響を与えていないことが示された。以上の結果により、わが国において、VCがシンジケート投資を行うことは、投資先企業の質を保証する効果があり、それが投資家へのシグナルとなっていることが明らかになった。