日本ベンチャー学会誌
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Print ISSN : 1883-4949
寄稿論文
沖縄、観光そしてベンチャーに関する一考察
―日本ベンチャー学会第16回沖縄大会を終えて―
金城 盛彦
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2014 年 23 巻 p. 3-14

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抄録

観光地が指向すべきは「観光客」か「訪問客」か。第16回日本ベンチャー学会沖縄大会の初日には、この問いが象徴する「観光とは?」の議論が交わされた。これを受け本稿では、沖縄県とハワイ州に、観光のマクロ統計の国際標準(TSA)を加え、その定義と範疇の相違を検証する。続いて本稿では、ISバランスを踏まえ、沖縄経済、社会の基幹産業である観光の位置付けを再度検証する。その背景を踏まえつつ、県経済の6割に迫る財政(援助)の存在が実物面だけでなく、物価を高止まりさせ資産市場の資源配分を歪めている可能性を指摘する。さらに本稿では、その結果地域に生じる格差に言及し、壮年期あるいは次代に続く「貧困の悪循環」が確認される。しかし本稿はまた、それでも高い沖縄県の潜在成長、起業の余地に触れ、一般向けに書かれた共通ではない地域の実情に則した「起業」、「ベンチャー」の必要性への言及を以て閉じている。

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