2017 年 30 巻 p. 35-50
オープンイノベーションということばが広まる に伴いわが国においても大手企業が開発目的の外部 連携に積極的に取り組む姿勢を見せるようになった。 このことは、わが国に多数存在する優れた技術を持 つ中小企業を活かし、わが国全体としてのイノベー ション力を強化するための好機をもたらしている。 しかし、大手企業が外部の技術や知識を探索するに 際して、自社のニーズ情報を公開しない場合が多い ため、大手企業と適切な技術を持った中小企業との 効率的な連携形成が妨げられている。このことは、 海外の先行研究においては大きな論点とはなってい ないが、わが国の中小企業や地域活性化の現場では 大きな問題となっている。産業クラスター推進組織 として設立された TAMA協会は、大手企業のニー ズ情報に関して非公開型、公開型双方の交流事業で 実績を挙げており、その経験からこの問題の解決に 向けた示唆が得られる。