日本ベンチャー学会誌
Online ISSN : 2433-8338
Print ISSN : 1883-4949
研究論文
バイオベンチャーのピボット
―実態と要因分析―
森口 文博山田 仁一郎黒木 淳
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2020 年 36 巻 p. 13-27

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抄録

ベンチャーやスタートアップ企業にとって、柔軟に経営戦略の転換(pivot)を行うことが、その生き残りや成功に影響を与える要因として近年言及されるようになった。一方で、ベンチャーやスタートアップ企業がピボットを選択する要因について実証研究の蓄積は少ない。本稿では、国内バイオベンチャー148社から取得したアンケートデータを対象に、バイオベンチャーのピボットを決定づける要因について、経営環境および心理的要因の視点から定量分析を行った。解析の結果、経営課題への対応の視点では、「品質管理対応ができている企業ほど、ピボットしにくい」「外部環境の把握ができている企業ほど、ピボットしやすい」という結果が得られた。また、心理的な側面では、「CEOに創業メンバーが含まれていると、ピボットしにくい」という結果が得られた。この結果は、ベンチャーやスタートアップ企業がピボットを選択するにあたり、検討材料として重要な示唆となろう。

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© 2020 日本ベンチャー学会
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