日本ベンチャー学会誌
Online ISSN : 2433-8338
Print ISSN : 1883-4949
寄稿論文
企業家活動の成功の向こう側へ
―エフェクチュエーション研究の現状と可能性―
吉田 満梨
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2022 年 39 巻 p. 15-30

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抄録

本研究の目的は、近年アントレプレナーシップ研究において注目される「エフェクチュエーション(effectuation)」に関するこれまでの研究潮流を確認し、今後の研究可能性について考察を行うことである。はじめに、エフェクチュエーションとは何かについて概要を確認した上で、Academy of Management Review 誌で同概念を発表したSarasvathy(2001)以降のエフェクチュエーションに関する研究のレビューを行い、いくつかの先行研究に共通する研究課題や、学会誌における論争を踏まえながら整理した。そうした研究の蓄積は、エフェクチュエーションの有効性についての経験的証拠を提供し、その構成要素に関する理解を深め、適用範囲の境界条件を明らかにすることを通じて、さらなる研究発展に貢献してきたと言える。最後に、アントレプレナーシップ研究におけるエフェクチュエーション研究の意義を、Simon(1996)の「人工物の科学」との関連性から整理し、今後の研究可能性について検討する。

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© 2022 一般社団法人 日本ベンチャー学会
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