2022 年 39 巻 p. 31-45
本研究では、購入型クラウドファンディングによる資金調達の複数の成功パターンと望ましい価格設定に関する定量的なエビデンスを提示する。購入型クラウドファンディングは市場規模の拡大や活用方法の多様さから、学術的・実務的な関心が高まっており、特に資金調達の成功要因に関する実証研究の蓄積が進んでいる。しかし、従来は資金調達が成功に至るパターンは単一であるという暗黙の仮定のもと実証分析が行われてきた。本研究では、日本の大手購入型クラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE」のデータと潜在クラスモデルを用いて、資金調達の成功パターンを類型化し、望ましい価格設定に関する示唆を導出した。また従来の研究と比較して、より良く資金調達の成功要因を説明するモデルを提案した。この結果は購入型クラウドファンディングの性質に対する理解を深めることに加え、資金調達における個別具体的な指針の立案に活用可能である。