日本ベンチャー学会誌
Online ISSN : 2433-8338
Print ISSN : 1883-4949
研究論文
商業高校のアントレプレナーシップ教育における実践共同体の解明
髙見 啓一
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 39 巻 p. 63-77

詳細
抄録

全国に遍在する「商業高校」は、幅広い学力の生徒が学べ、アントレプレナーシップ教育(Entrepreneurship Education, 以下「EE」)を地方や起業無縁層へ広げる拠点として期待できる。本稿の目的は、学校外部との協働をベースに展開される商業高校のEE の成功要因を、「実践共同体」を中心とした枠組みから明らかにすることである。学校内株式会社と地域創生の取組みを行っている先進事例2校のEEを分析したところ、ともに連携先との互酬的なコミュニティを構築し、非公式性や自発性が担保された「第3の場所」となるコミュニティを作っていた。それにより、非規範的(非常識的)な学びによるアイデンティティやパースペクティブの変容を促し、新商品開発などのイノベーションにつなげていた。そのマネジメントには、熟達したキーパーソンとのつながり作りや、コーディネーター役の教員が動きやすくなるような組織サポートが重要となることが明らかとなった。

著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本ベンチャー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top