日本ベンチャー学会誌
Online ISSN : 2433-8338
Print ISSN : 1883-4949
事例研究論文
大企業がベンチャー企業と提携するコーポレート・アクセラレーター・プログラムのプロセスに関する考察
―コーポレートベンチャリングの分析枠組みを援用した事例分析―
谷口 正一郎
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2022 年 39 巻 p. 79-93

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抄録

本論文は、大企業がベンチャー企業と協同して事業創造に取り組むコーポレート・アクセラレーター・プログラムのプロセスを明らかにすることを目的とする。コーポレートベンチャリングの先行研究が提示した分析枠組みを援用し、森永製菓株式会社を対象とした事例分析を行った。大企業が、コーポレート・アクセラレーター・プログラムを導入した結果、提携を擁護する新たな組織コンテキストが形成され、ベンチャー企業との事業創造を促す。しかし他方では、事業創造に対する淘汰圧も生じるのである。これらを解消するためには、トップマネジメ ントのサポートのみならず、部門間交渉や利害調整が必要となる。さらに、組織メンバーが、CAPの目的を満たすために、事後的に事業創造を作り込み、多様な成果に結実する可能性を見出した。本論文は、これらの発見事実を通じて、事例企業におけるコーポレート・アクセラレーター・プログラムのプロセスを提示した。

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© 2022 一般社団法人 日本ベンチャー学会
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