日本ベンチャー学会誌
Online ISSN : 2433-8338
Print ISSN : 1883-4949
事例研究論文
政策助成クラスターの成長過程におけるキャズムの存在と克服に関する考察
―韓国テドク・バレーのケース分析を中心に―
姜 栄柱
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 4 巻 p. 121-128

詳細
抄録
本稿の目的は、政策助成クラスターがその成長過程において経験するキャズム(Chasm) の存在を究明することである。本稿では、韓国の代表的なハイテク・クラスターのテドク・バレーのケースを調査・分析することにより、政策助成クラスターのキャズム発生のメカニズムを明らかにする。ムーアは、キャズムという用語を「ベンチャー企業がその成長過程において経験する大きな挑戦、あるいは深い溝」と定義し、ベンチャー企業が急成長するには必ずキャズムを乗り越えなければならないとしている(Geoffrey A. Moore、1991)。本稿では、「キャズム」という用語をイノベーション・クラスターの成長過程において経験する挑戦ととらえ、政策的に助成されたクラスターは、自然発生的に形成されたクラスターとは異なるキャズムを経験することを明らかにする。イノベーション・クラスターがさらに成長を続けるか、キャズムに落ちて衰退していくかは、各クラスターがキャズムをいかにして乗り越えられるかに大きくかかっている。
著者関連情報
© 2003 日本ベンチャー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top