抄録
アントレプレナーシップ研究は起業家個人の特性の探究から起業活動を取り巻く社会的・地理的文脈の探究へとシフトしてきた。その流れの中で、Entrepreneurial Ecosystems(以下、EEとする)という概念が研究・政策・実務の側面で、ますます注目を浴びるようになっている。しかしながら、その注目度とは裏腹に、EE概念の理論的基盤は十分に整備されていないことが指摘されている。それゆえに実証研究においても適切なEE概念の使用がなされていないケースが散見されるとの指摘もある。そこで、本稿ではEE概念を理論的に扱った文献を中心として統合的な文献レビュー(Integrative Literature Review)を実施し、理論の要件に従ってEE概念の理論的記述および境界条件の抽出・統合を行った。それにより、EE概念を批判的に検討し、EEの今後の研究指針を示した。